ボーカリストが複数人いるShiinaTactix。でも、コーラスとかではなくてそれぞれソロで歌っています。しかも同じ歌をバリエーション違いのようにして。
こんな展開って、他では(少なくともJ-POPSでは)聞かないですよね。その昔、「エヴァ」が「Fly me to the moon」をEDとして10以上のバリエーションを作っていました。他には「魔法先生ネギま!」のED「ハッピー☆マテリアル」という例があります。「Fly me to the moon」はその回の中心キャラクタが歌うということもありましたが、「ハピ☆マテ」は月変わり。曲とボーカルのマッチングに関しては考慮の余地はないものでした。
しかしShiinaTactixのこの挑戦的な試みは、おそらく永野氏が曲とボーカルのイメージのマッチングを考えているものと思います。 一人のボーカルでは飽き足りない、永野氏の求める表現とは何なのか、ちょっと考察してみました。
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違いが現れるのはサビなどで力強い表現が求められる部分です。 伴奏がもともとパンチを利かせたものなので、実際に力(リキ)を入れて歌ってしまうとくどくなってしまいます。
高山さんは発音前のタメと長音の母音強調です。文字で表現するのは難しいですが敢えて書くなら「(ん)きみとお~」みたいな。これは本当にパワフルに聞こえます。
小林さんはビブラートを効かせて「きみと~♥」って感じ。
日笠さんは短めに発声を切って最後の長音は若干力を抜く「き・み・とー」
田村さんはハスキーな声質で自然に力強い印象になっている感じ。 ちょっと感情表現を抑えているとも言えますが、 それがセツナ系作品ではドライでいい雰囲気です。
こうしてみると、歌唱指導で統一しようとするより、それぞれのキャラクターを活かそうとしていることがよく分かります。
皆さん声優の仕事をしておられるので、代表的なアテレコ・吹き替えキャラクターを挙げれば 知っている人には的確に伝わるんでしょうが、アニメも吹き替え映画も見ない という人も少なくないようなので、一般的な表現で表してみます。
小林さんが「かわいい系」、日笠さんが「クリアネス」、田村さんが「セクシーお姉様系」でしょうか。
とは言え、SILENT RIVER LIGHTで小林さんが優しげな表現も聞かせてくれたように、今後いい意味で裏切られるような作品も登場してくるでしょうね。非常に楽しみです。
t-sana ver.のJUST COMMUNICATIONを聴いて思ったのは、
TWO-MIXのAメロが明るくてサビが切ない系の曲の歌唱には、
前半の暖かさと後半のドライな感じのコントラストがもっと欲しいということです。Charlieは日笠さんVer.のJUST COMMUNICATIONが聴いてみたいです。
田村さんVer.が聴いてみたいのはLAST IMPRESSION、小林さんVer.はBEFORE THE IGNITIONが思い浮かびました。
(他にTWO-MIXの曲で、誰のVer.で聴いてみたいっていう作品があればコメ欄にどうぞ!)
このままだと、高山さんの守備範囲が大きくて凄いねという結論になってしまいそうだけれど、そうではないです。
THRILL VANGUARDの大サビ部分での小林さん&日笠さんとか、田村さん系のハスキーボイスとかはオリジナリティが高いと思います。
高山さんは野球の守備でいったらショートなんじゃないでしょうか。守備範囲は広い、でもファーストには入らない。
それでもってShiinaTactixのボーカルsは、ファーストとかサードに相当するのでは。TWO-MIXからすると曲調を右にも左にも振り切った作品に挑戦したいのではないでしょうか。
ちなみに永野氏がボーカルをやるのは、監督がキャッチャーに入るようなもんですが、もうやってくれないんでしょうかね?
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